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最高裁判所第二小法廷 昭和25年(オ)370号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について。

原判決の確定した事実によれば、本件家屋の賃借人たる上告人は、賃貸人たる被上告人の承諾を得ずして昭和二三年三月中訴外岡野海央衛門に、又本件家屋に対する仮処分後の同二四年三月中には訴外笠尾澄江に、又同年九月中には訴外山本不二子、同波多野君江の両人にいずれも相当の権利金を取つて本件家屋の各一室を転貸居住せしめた外昭和二五年三月以降は訴外木野学より保証金名義で金三万円を差し入れさせ、瓦斯、電灯、水道の各料金をも含めて月々少くとも千円の賃料を徴して同訴外人一家四人を同居させ家屋全体に亘りその使用を許容して居るというのであるから、原判決が上告人の右無断転貸を理由とする被上告人の本件賃貸借の解除を容認したのは正当であつて、論旨は採用することはできない。

その余の論旨は、昭和二五年法律一三八号により、特に、審査しない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、全裁判官一致の意見を以て主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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